リュシーメソッド理論編コラム8
[フレージング2]
フレージングの応用編をここで説明しようと思います。フレージングには次の3つの形があります。
[1]通常の形
[2]エリプスと呼ばれる、前のリズムの最終音と次のリズムの開始音が重なった形。
[3]スディール、ジャンクション、ランプリサージュと呼ばれる、前のリズムにも後ろのリズムにも属さない音が使われている形。注)スディール、ジャンクション等にはリズムと区別するためにフレージングは書きません。
以上の法則と知識を基にフレージングの分析を行います。ソナチネアルバムやソナタアルバムから分析するとやりやすいと思います。最初は慣れませんが段々慣れてきて楽譜に書かれているフレージングといかに違うか気づくことでしょう。楽譜に書かれているスラーはリズムの塊を表しているものではない事に気づくでしょう。スラーを書き終わった後に演奏してみるのもいい訓練になります。
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リュシーメソッド理論編コラム7
7.リズムを発見する為の法則(フレージングの法則)とリズム内部の3つのアクセント法則
まずリズムを発見する為の法則(4つのフレージング法則)を説明しようと思います。これらの法則によって今まで発見出来なかった(気づかなかった)リズムの塊を発見することができるようになります。(分析記号は⌒スラーを用いる。)
[フレージング1]
1)男性リズム(男性終止)、女性リズム(女性終止)を探す。
2)それぞれの最後の音によって耳に与えられる休止の感覚に注意する。
3)類似した構成(デザイン)で、2小節ずつ、3小節ずつ、4小節ずつ等にそれらの音がまとめられているかどうか探す。(前のリズムとの類似または相違によって見分けられたそれぞれのリズムは、明らかにそれぞれの長さに従って、様々な大きさのリズムを形作る。)
4)休止を感じさせる長めの音または休符によってリズムが終わっているかどうか探す。
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リュシーメソッド理論編コラム6
6.男性リズムと女性リズムの違いについて
リズムが休止を伴うということは以前に書きましたが、リズムは休止の仕方によって呼び名が異なります。下例のように強拍で終わっているリズムを「男性リズム(男性終止のリズムとも言う)」、弱拍で終わっているリズムを「女性リズム(女性終止のリズムとも言う)」と言います。
次回はリズムを発見する為の法則(フレージングの法則)とリズム内部の3つのアクセント法則について書きたいと思います。
リュシーメソッド理論編コラム5
5.拍子とリズムの違い
拍子とリズムの違いとはいったい何でしょうか?簡単に言ってしまえば、拍子は下例のように「動的な要素、力の要素」によって発生し、リズムは「音の連続の中断、休止という要素」によって発生するということです。拍子は永遠に同じ運動を繰り返し、リズムは必ず休止を伴いながら運動するということです。多くの人たちが拍子とリズムを混同している今日、この違いの理解はとても重要な事に思われます。よくリズム打ちと称してリズム譜を見て練習していますが、あれは殆んどが拍子型と呼ばれるものです。演奏の為のリズムは、何度も繰り返しますが、「動いて止まる一塊の立体的な運動体」の事を意味します。何故「立体的」という言葉を使うかですが、音楽は2次元(楽譜は2次元)のものではなく、3次元のものだからです。この理解も演奏上とても大切なことですが、多くの演奏経験を積むことによってだんだん分かってくるでしょう。
拍子の譜例
リズムの譜例
次回は男性リズムと女性リズムの違いについて書きたいと思います。
リュシーメソッド理論編コラム4
4.リズムに属さない音
音楽の中にはリズムに属さない音というものがあります。リズムとリズムに属さない音の区別がつかないと演奏に混乱をきたす事になります。基本的には、音量的にリズムはリズムに属さない音よりは強く演奏されます。リズムに属さない音は4つに分類され、最初の2つはリズムとリズムを繋げるために使われ、3つ目はリズムとリズムの間を埋める為に用いられ、4つ目は感嘆音と呼ばれる音楽上での驚きを表す音として用いられます。次に譜例を用いて分かりやすく説明しましょう。
上例(例1,例2)はスディールとよばれる2度(全音、半音)進行で前のリズムと後ろのリズムを繋げる、音または音群で譜例の*印の部分にあたります。下例は機能としてはスディールと同じですが分散和音で連結するジャンクションと呼ばれるものです。
次はランプリサージュと呼ばれる3つ目のもので下例のようにリズムとリズムの間の隙間を埋めるものです。
次は4つ目のもので感嘆音とよばれる音楽上での驚きを表すもので、ベートーべンの「悲愴」の譜例では最初のフォルテピアノの記号が付いた音がそれです。
これらの譜例をピアノで弾いてみて下さい。リズムに属さない音ということの意味が良く分かると思います。次回は拍子とリズムの違いについて書きたいと思います。
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リュシーメソッド理論編コラム3
3.音楽の中のリズム
今回はリズムの具体例を見ていきましょう。
上例の2小節づつの塊を「動いて止まる」塊として感じてみて下さい。そうすると1小節目が「運動」、2小節目が「停止」と感じられます。このように、音楽の中にはこのような塊がいくつもあってそれらが連なって音楽全体を作り出しているのが分かります。この塊のことをリズムと定義するとフレージングも自力で可能になり、音楽も自然と感じられるようになります。まず皆さん各自で楽譜を眺め各塊(リズム)を感じとる練習をしてみて下さい。次回はリズムに属さない音について書きたいと思います。
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リュシーメソッド理論編コラム2
2.音楽リズムの定義
リュシーは自著の中で次のようにリズムを定義しています。「最終音が多かれ少なかれ休止の印象を与える音のグループ」私はもっと分かりやすいことばで次のように生徒達に説明しています。「動いて止まる一塊の立体的な運動体」この定義の理解が演奏の良し悪しを決定します。この理解が出来るようになると、フレージングやルバートなどが自力で出来るようになり、最終的にはアクセントも発見することができるようになります。皆さんも良ーーくこの定義がどんなことを意味しているのか考え、感じてみて下さい。次回のコラムでは譜例を用いて音楽の中にあるリズムとはどんなものか説明しようと思います。
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